andymori ラストライブ 武道館公演 レビュー

 ラストライブというものはいったい誰の、そして何のためにあるのだろうか。そういった場面に立ち会う度にそのことを考えてしまう。andymoriの二度目のラストライブはおそらく彼らが作ってきた曲のためにあったのではないかと思う。
 まず、andymoriの武道館でのラストライブは異例中の異例の出来事であった。当初、2013年にアルバム『宇宙の果てはこの目の前に』を発表し、アルバムツアーと武道館公演で解散となるはずだったが、ボーカルの小山田が河川に飛び降りたことによる重症の結果全てキャンセルとなってしまう。まずこの段階で一度ラストライブがなくなってしまっている。リハビリと治療を終え、今年改めてラストライブをSWEET LOVE SHOWER 2014で行ったが、そのライブ中にもう一度ライブを行いたいというまさかの発言によって、急遽武道館での公演が追加で行われることになった。だから、企画としては3度目のラストライブ。そして、実施された2度目のラストライブなのである。
 そして演奏された全41曲。これでもかとばかりに演奏されたたくさんの曲。最後の最後のライブなのだから感動的にしようと思えばいくらでも感動的にできただろう。例えば、アンコール前最大の盛り上がりを見せた「クラブナイト」で終わっていたら?センチメンタルな曲を後半にまとめてもってきたら?ラストの「Life is Party」をドラマチックに終わらせたら?たらればはいくらでも思いつくが、結果的に彼らはそうはしなかった。BPMの速い曲、遅い曲をいい言い方で言えば緩急をつけて、悪い言い方をすればまとまりなく演りたいように進めていく。そして、演り残した曲がなくなったかのように小さな挨拶をしてステージを去っていった。
 バンドの解散というのはファンとの別れという面もあるが、それ以上にそのメンバーで曲が演奏されることがなくなるということであり、場合によっては歌うべき人によって二度と歌われなくなるということでもある。今回のライブはandymoriにはこれだけ多くの素晴らしい曲があるのだということの何よりの証明であり、そして41曲へのお別れでもあった。